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一つの小説によって、それまでの歴史観が変えられることがあります。
新選組のことも子母沢寛によってスポットが当てられ、司馬遼太郎によって生身の人間として動き出したように思います。
歴史を題材とするNHK大河ドラマなども大きな影響を与えています。

小説の作られた部分と、教科書の暗記用史実の間を、歴史研究家や郷土史家の方々が埋めてくれる気がするのです。

さて、2冊の新書を読みました。

「善玉」「悪玉」大逆転の幕末史 (講談社プラスアルファ新書)「善玉」「悪玉」大逆転の幕末史 (講談社プラスアルファ新書)
(2005/01)
新井 喜美夫

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「幕末維新史」もう一つの読み方 (ベスト新書)「幕末維新史」もう一つの読み方 (ベスト新書)
(2001/11)
外川 淳

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まずは「善玉」「悪玉」大逆転の日本史。
作者の新井氏は「マーケティング入門」などの著書のある経済界に詳しい方です。

この本、読んでいて正直イラつくというかむっとする記述が多かったです。

作者にとって「善玉」は井伊直弼・小栗忠順・河井継之助・松平容保で
「悪玉」は西郷隆盛・坂本龍馬・勝海舟・徳川慶喜です。

龍馬については

 薩長を結びつけたのは、日本の将来のためでなく、仲立ちをすることにより得る利益が目的

勝海舟については

 江戸無血開城の折も徳川慶喜のことなどどうでもよかった。彼の関心はもっぱら日本と自分の将来にある

となかなかきつい言葉が並びます。

確かに井伊直弼が日米修好通商条約の調印と紀州徳川慶福の将軍継嗣を決めたことは正しかったと思うし、小栗忠順が自国で大砲・戦艦を作るべく横須賀製鉄所の建設を進めたことも
先見の明があったと思います。

薩長土肥が中心となった明治政府が作った歴史では彼らは「敵」であり、「間違った方向に行った人」とされています。

私も徳川慶喜が多くの幕臣を犠牲にしたあげく自分は生き残って家族とのうのうと天寿をまっとうしたことは、腹立たしく感じることもあるのです。
近代に向かっていくために必要だった優秀な才能は幕府にも会津にもいたはずなのに
朝敵として消してしまったことも事実です。

でもこの本の書き方はどうも片寄りすぎている気がします。
まず歴史を知る前提としての資料からの引用が少なく、最後にそういう一覧もない。
なんだか裏づけに乏しい暴論のような響きなんです。

やたら土佐や薩長の人間をバカよばわりするのもどうかと思う。

自分が先をみることができて大きな組織を引っ張ってきたから、余計無能に見えるのでしょうか?


もう一冊のほう「幕末維新史」もうひとつの読み方の作者は元歴史雑誌の編集者。
この本は維新の重要事件で「もしも」を設定し、現実とは少し違う展開をシュミレーションしてみたものです。

想像力と総合的知識から描いた未来は意外と歴史と変わらなかったり
おもしろかったです。

たとえば孝明天皇が井伊直弼の願った「日米修好通商条約」の勅許を条件付き (公家諸法度の廃止・皇室料地増加)で出していたら幕末の動乱はなかったのではないか・・・とか。
天皇が許さなかった条約を幕府が勝手に調印したとして「尊王攘夷」派が生まれたからです。

作者は、井伊直弼・坂本龍馬・大久保利通など暗殺された人たちがもう少し用心深かったら死ななくてよかったかもしれないと言ってます。
無防備ともいえる行動は「命をかけて」という意味でいさぎよかったとも言えますが、そのために達成できなかった事案もあったわけです。
桂小五郎は「逃げの小五郎」として卑怯者とも言われますが、目標のために生きることを選んだ彼の生き方もまたいさぎよいのではないでしょうか。




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コメント - 2

-  2008, 01. 16 (Wed) 14:06

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-  2008, 01. 16 (Wed) 06:58

そもそも歴史に安易に善悪など求めるものではない、と私は考えてまして新井喜美夫氏の本は知ってましたが読む気になれなかったです。

やはり思った通りの本のようですね。

徳川慶喜ですが確かに慶喜を恨んだ幕臣も多くいたわけですが慶喜を支えた幕臣も多くいて、一口に幕臣といってもピンからキリです。

前田匡一郎著「慶喜邸を訪れた人々」(羽衣出版)を読むと維新後どれほどの幕臣が慶喜邸に来たのかが分かり面白いですよ。

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