狐火の社/居眠り磐音江戸双紙 7
2007/05/28(Mon)
前の巻では大川の川開きから始まりましたが、この巻は紅葉狩りです。

品川はずれの海晏寺(かいあんじ)におこん、柳次郎、蘭医中川淳庵、幸吉、おそめの六人で向かいます。
関西在住の私にはそこはどこ?って感じですが、今でも有名なのでしょうか

まあそこでもお決まりのように、言いがかりをつける奴らに出会ってしまいます。
ここでは直参旗本のご子息たち。
茶屋で、料理にあたったと因縁をつけてきます。

 「その女、預かって参る」

と言う侍におこんさんは

 「私は八百屋の大根や人参じゃないよ。
  気安く部屋住みの言いなりになって売り買いされてたまるもんか」

鉄火で啖呵を切っちゃいます。

 「品川の塩水で面を洗いやがれ!」

と「!」マーク付きでお怒りです(笑)
磐音の前でその威勢のよさ・・・さすが深川育ち・・

柳次郎は、同じ直参とはいえ下級幕臣。
相手に「北割下水のどぶ鼠」と言われてこちらもキレます。

磐音はそんな熱い二人を抑えてのんびりと登場して千色百彩の紅葉の舞う中、戦います。

磐音は1対1で戦うことが多いですが、必ず「御流儀は」と問いますね。
向こうも聞き返して磐音が「神田三崎町直心影流佐々木道場門下」と言うと誰もが知っています。
その道では本当に有名なのですね。

柳次郎は、子どものころ借金をしに祖父母と品川の先まで行き、帰りに
紅葉の海晏寺(かいあんじ)に来たらしい。
直参旗本との身分の違いにキレたのもそんなことを思い出した後だったからでしょう。

この巻は御家人のせつなさが気づかされる話がもうひとつあります。
柳次郎が姉とも慕っていた佳代様が、主人の病の薬代のため身を売っていることがわかったのです。
義弟妹を養い、家の体裁を整えるためにとった行動を、主人の通夜の席で親戚に責められたと聞いて、柳次郎も落ち込みます。
 
 「御家人なんてつまらねぇ暮らしだね」

とめずらしくつぶやく柳次郎・・・

結局家を出た佳代様を見守っていた柳次郎は、佳代の最期に立ち会うことになり哀切の泣き声をあげることになってしまいました・・・・
可哀相・・・


「雨降ノ山」は雨降山大山寺(別名阿夫利神社オオヤマアフリジンジャ)への参詣を指していました。
「狐火の社」は狐の行列が出るという王子稲荷のことです。

今津屋主人の代参で老分由蔵、おこん、手代保吉と共に王子稲荷に行くことになった磐音。
狐火行列の最中におこんが行方不明になります。
怒りのために待ちの剣法を捨てて踏み込んだ奥の間にその姿はなく・・・
かどわかされたおこんを助けたのはお狐さま?
おこんさんの美しさに狐も魅入られたのでしょうか。

はじめにおこんさんの啖呵を書きましたが、忘れてはならないのは

 「居眠り磐音さん、もし刀を捨てて町人になるというのなら、
  おこんが嫁に行ってあげるわ」

という逆プロポーズでしょう。
硬い笑みが泣き顔のように崩れて・・磐音が決して刀を捨てないとわかっていて告げる想いでした。
武士と町人の娘では添うことは叶わないのですね。
たとえ身分のことがなくても、磐音の心は奈緒様にあることも承知のおこんさん。

『旦那はなぜ奈緒様が吉原に入るのを見過ごされたんです
 旦那の覚悟とあの腕がありゃあ、どんな手立てもついたはずだ。』
『最後の一歩が踏み込めなかった』

磐音・・・罪な男です。


狐火ノ杜―居眠り磐音江戸双紙 狐火ノ杜―居眠り磐音江戸双紙
佐伯 泰英 (2003/11)
双葉社

この商品の詳細を見る
関連記事
この記事のURL | 居眠り磐音江戸双紙シリーズ | CM(0) | TB(0) | ▲ top
<<朔風の岸/居眠り磐音江戸双紙 8 | メイン | 雨降ノ山/居眠り磐音江戸双紙 6>>
コメント
コメントの投稿















管理者にだけ表示を許可する


▲ top

トラックバック
トラックバックURL
→http://naturalreload.blog77.fc2.com/tb.php/9-9e9889c7

| メイン |