花芒は「はなすすき」と読みます。

この巻は磐音が、藩に巣食う黒いネズミを退治するため国許に帰る話が中心です。
しかし、それより重要なことは許婚奈緒の消息です。

騒動で姉と兄を亡くした奈緒は病気の親を救うため、身売りしてしまったと聞く磐音。
すべてをおいて、追いかけたい気持ちだったでしょう。

 「奈緒の気持ちは生まれたときから死のときまで
  磐音様の御許に寄り添っております」

そんな切ない手紙を残して関前を出た奈緒。
磐音には「花芒」の野をひとり旅する奈緒の姿が浮かんで苦しくてたまりません。

兄を殺した自分が添えるわけがないと、奈緒を残して江戸に行った磐音。やはり『なぜ』という気持ちでいっぱいです。

おこんでなくても「唐変木」と責めたくなります。
彼も被害者ですが・・・

父の危機を救い、騒動の首謀者を処分に追い込んだ磐音は奈緒を追って旅することを決めます。その話は次刊で。


磐音が育った備後関前藩の城は白鶴城と呼ばれ三面が断崖に隔絶され海に囲まれた城だそうです。「白鶴」という言葉がのちに悲しい響きを持つことを磐音はまだ知りません。

話は、磐音が国許へ旅立つ前の江戸に戻りますが、おこんさんが
今津屋の用事で長屋を訪ねて

  「私に付き合って何かおいしいものでも食べにいきましょうよ」

と誘ってます。おこんさんは「深川育ちの女はおせっかいなの」「礼儀知らずなの」とか言ってますが、「深川育ちの女」は積極的です(笑)
幸吉の幼馴染のおそめちゃんも深川育ち、結構しっかりしてます。

磐音が江戸を留守にすると聞いてもう戻ってこないのではと皆心配しています。一年ほどの間ですっかり頼りにされているのでした。
南町奉行所与力の笹塚孫一も

  「そなたがいなければ江戸も蝉の抜け殻だ。
   かさりとして、おもしろくもおかしくもない」

と言ってます。奉行所発行の関所手形を発行くれたりしてます。


1巻「陽炎ノ辻」は、親友小林琴平と戦った御番の辻にゆらめく陽炎のことです。改革派を葬るための陰謀だったとはいえ、奈緒の姉舞さんも可愛そうでした。旦那さまがもう少し信用してくれたら・・慎之輔も磐音に相談すればよかったのに・・・これがなければ話が始まらないから仕方ないのですがいきなりつらい話でした。


2巻「寒雷ノ坂」は関前藩上屋敷がある駿河台富士見坂です。そこで探索を見つかり惨殺された上野伊織の仇を討つべく藩士を待ち伏せするのです。
遠くで聞こえる雷の音が、これからの嵐を感じさせてくれます。


花芒ノ海―居眠り磐音江戸双紙 花芒ノ海―居眠り磐音江戸双紙
佐伯 泰英 (2002/10)
双葉社

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