文藝春秋にみる坂本龍馬と幕末維新


2010年2月発行の新しい本ですが、中味は新作ではなく
過去に「文藝春秋」誌に掲載された「幕末」をテーマにした文章を集めたものです。

大河ドラマに乗っかった企画本の一冊
とはいえ、なかなかおもしろかった。

この本で松浦玲氏に不運の一流と評されたのは「木戸孝允」
「文藝春秋昭和43年1月号」掲載の一文です。


「木戸の明治維新後の仕事は玄人筋の評価によく耐えるものを持っている
 しかし、政治家は、素人わかりする人気を必要とする。
 目で見て手に取るようにわかる姿かたちが必要なのである。
 木戸にはそれがない」



討幕維新の決定的瞬間・・・討幕密勅、王政復古の大号令、小御所会議、鳥羽伏見戦争、江戸開城
いいところはみな薩摩藩側やっています。

政治的立ち回りが下手な長州藩は藩内のごたごたを収めるのがたいへんで、なかなか京都に入れず
すべて薩摩藩にまかせるしかなかった・・・

おまけに木戸さんのあの性格(苦笑)
薩長同盟は彼自身の最大のヤマ場なのに
あとで坂本龍馬にくどくど念押しの手紙を送って台無しにしている。
(資料としてはありがたいものだが)

ある作家さんが幕末の志士「桂小五郎」と政治家「木戸孝允」は別人のようだと言ってましたが
「幕末の志士」であった桂さんにしてもこのありさまです。

以前から疑問でした。
どうして新政府は木戸さんを必要としたか?ということ。
長州の首領としては前原一誠・広沢真臣もいたし、二人が去ってからは伊藤博文・井上馨・山県有朋らがいたはずなのに。
薩長のバランスとして伊藤らが引きとめたとして、なぜ大久保利通が木戸を必要としたか
よくわからないんです。
薩摩勢力で政府を独占できていいだろうに・・・

いろいろな木戸本を読んで、ひとつだけ出てきたのは
「明治天皇が木戸を気にいっていた」らしいこと。

皇室とのパイプとして必要だったのか・・・

どちらにしろドラマになりにくい人物ですね木戸さんは。


※この本には今井信郎のお孫さんの話や司馬遼太郎、海音寺潮五郎、池波正太郎先生方の文も載っています
 古いものは大正十五年の掲載で、その時代の証言として貴重なものもあります。
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