林房雄「青年」を読みました。

文庫の副題は若き日の伊藤博文・井上馨ですが、この本の主役はアーネスト・サトウかも(笑)


青年―若き日の伊藤博文・井上馨〈上〉 (徳間文庫)


この本は二人がイギリスへ密留学中に長州が外国の船に発砲したというニュースを聞き
日本へ戻ったところから連合艦隊との講和が成ったところまでが書かれています

全編通じてモンタがとてもかっこいいです。

山口の御前会議に攘夷中止を訴える(シュンスケは出られる身分ではないので孤軍奮闘)

連合艦隊の馬関来襲を知りあわてる上層部に
「防長を焦土にかえし、歴史に長州藩の名をととどめるお手伝いをしましょう」と言い放つ

下関敗報と幕軍出動に和議をすすめようとする上層部の前で「腹をきるっ」

講和が成ったあと、城山の大砲をイギリス軍に渡すのを拒む長州兵士に向かって
「自分を撃て。今、君たちが銃火をひらいあたならば、長州は滅ぶ。自分は生きて国の滅ぶのを見ることを欲しない。」

モンタはもうめっちゃ熱血漢だった!!

大隈重信が明治になってから20年の井上馨を評して


「井上は道具立ては喧しくない。また組織的に、こと功を立てるという風でない。
 氏の特色は出会い頭の働きである。
 一旦紛糾に処するとたちまち電光石火の働きを示し、機に臨み変に応じて縦横の手腕を振るう
 ともかく如何なる難問題も氏が飛び込むと纏まりがつく。」

「青年」時代にもこの評のモンタがいました。

この本を読んで井上聞多感が変わりました。
いままでシュンスケ・モンタをひとくくりにしてしまってんですが、見直しました(苦笑)
モンタなくして連合軍との講和はありえなかった。




あっ高杉晋作も後半出てきていいところありました。

この小説は連合側の通詞アーネスト・サトウからの視点でも書かれており、あの有名な「高杉評」が出てきます。

「使節宍戸刑馬(高杉)はルウシファのように昂然と頭をあげて舷梯をのぼってきた」

衣装はもちろん「黄色い地に緑色の桐の花と葉をそめだした大きな紋のついた上衣、下着の絹の色は眼にも鮮やかな純白、黒の三角形の帽子」

講和条件の「彦島租借」について【租借の意味はわからなかったが本能的に危険を直感して拒んだ】晋作。
悪魔のお告げが聞こえたんでしょうか(笑)



シュンスケは苦労人です。そのぶん相手に細やかな気遣いができる。
だから「引き上げてやりたい」と感じる。
モンタも高杉晋作も、アーネスト・サトウもシュンスケの不思議な魅力にひかれたようです。


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