TBS系で秋にドラマ化ということで読んでみました。
新撰組です。

とはいえ、この小説の主役は女性たちと言っていいでしょう。
島原輪違屋の天神糸里と土方歳三
島原桔梗屋の天神吉栄と平間五郎
京西陣菱屋女房(妾)お梅と芹沢鴨
の三組が織り成す恋情を中心に物語は進みます。
それに新撰組の宿舎となった八木家のおまさと前川家のお勝から見た隊士たちの姿です。

男たちの身勝手な生き方に流されていく女たちですが、浅田次郎氏の書き方だと「やっぱり女は強いかも」とも思わせてくれました。

輪違屋は実在したそうで、なんと現在も営業しているそうです。
浅田次郎氏と現当主が対談されてます。→こちら

島原の太夫は、当時『正五位の官位にあり、10万石クラスの大名の格式があり、帝(みかど)に接見を許された地位をもつ、万芸に通じ高い教養を極めた女性』だったそうで、春を売ることが仕事ではなかったのです。この本でも、糸里は身を売ることだけはしたくないと厳しい教育に耐えて地位を上げてきました。とはいえ、天神から太夫あがりをするには多額の援助(五百両とも)が必要でそれを出してくれた人には誠意を見せることは必要なようです。



この本は、芹沢鴨が島原の太夫音羽を斬ったところから話は始まり、自らも謀殺されるところまでが書かれてます。
この本で多くの人が芹沢鴨を「飲んだくれで、身勝手で凶暴な男」というイメージを変えると思います。土方歳三のほうがよほど悪役です。沖田総司は最後のほうしか出てきません。

それでも私の印象にのこった場面は、沖田が芹沢を殺して宿所に戻る道で路端に倒れ大の字で雨に打たれるシーンでした。そこに戻らぬ総司を心配になって近藤勇が探しに来るのです。(近藤は芹沢の謀殺に直接手を下してません。)

ただ傘を差しかけ「泣いているのかよ」と問います

  「泣いてなんかいませんよ。身体を拭くのが面倒だから、こうやって血を洗い流しているんです。」
  「よう働いてくれたなあ」

沖田は自分が芹沢鴨を殺すことに恐怖心を抱いていました。それは芹沢鴨が自分たち試衛館の門弟たちとは違う「侍」だったからだと気づきます。

  『善が悪を倒す義挙でもなく、天誅などでもあろうものか。百姓と足軽の小倅どもが真の武士を殺すのだ』

そんな迷いとやりきれなさを近藤にぶつけるこの場面が好きです。
浅田次郎氏はこの本でずっと「武士」ということにこだわってます。

この本に「桜木太夫」と言う名がでてきます。これは作者の創作だそうですが、歌舞伎「仮名手本忠臣蔵」の「花は桜木、人は武士」を思い起こさせて不思議な気分でした。



前述の沖田の場面・・・あるとすれば丸山隆平くんではだめでしょう・・やっぱり藤原竜也さんですか・・・

考えてみると、大河ドラマ「新撰組!」を見ていないのに思い浮かぶとはすごい配役だったのだなあと思います。

輪違屋糸里 上 輪違屋糸里 上
浅田 次郎 (2004/05/27)
文藝春秋

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