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大河ドラマについて散々文句を並べてきましたが、実は原作を読んでませんでした。
先日図書館から上巻をやっと借りることができました。

まずは脚本家さんに一言おわびです。

上杉謙信が亡くなり、『嘘の遺言』で景勝を後継ぎにした仙桃院。
自分ひとりで秘めておくべきことを兼続に打ち明けるなんて考えられない!

と放映時に思ったのですがこれは火坂氏の原作に書いてあるのでした。



天地人〈上〉天地人〈上〉
(2006/09)
火坂 雅志

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原作は兼続と弟与七が川中島を見に妻女山に登っているところから始まります。
(兼続の幼い頃は不明で小説の中で描かれることはあまりないようです)

大河ではふたりの出会いを描いて、二人の絆の深さを印象づけました。
(このときはすごく期待してたんですが・笑)

ドラマで超不評の初音は、物語の最初に登場します。

信州の歩き巫女(吉凶を占ったり、口寄せをする呪術者)の設定で、兼続の「初めてのお相手」!!
初音は信長の信濃攻略を止めるため越後上杉家に近づきます。

そして兼続に「あなたさまは、上杉に無くてはならぬ存在になる」と予言し、このあと折々に情報や忠告を与えるのです。
NHKの予告で「高坂弾正の死を初音から聞き・・・」というあらすじがありましたが、これは原作の筋でした。
(放映では仲間の上田衆から聞く)

お船さまは原作では節度ある態度です(笑)

一年のおよぶ謹慎(そんなに長かったのか)のあと帰参し、弟与七を景勝に引き合わせた兼続。


「弟か」
動きの少ない景勝の顔にわずかに表情が流れた。
「わしには男の兄弟がいない。兄は早くに死んでしまった。」
「は・・・・」
「お前たちのように陰で支えてくれる父もない。血のつながった肉親は頼りになるものだ」
と言ったきり、景勝はあとに言葉をつづけるでもなく、実頼(与七)を見つめて目を細め
「励めよ」
ややぶっきらぼうに告げた。


こういうところで「喜平次」の頃からの寂しさが出ています。
謙信を尊敬しながら、父の死に関係があるのではないかと疑いながら過ごしてきた子ども時代。
兼続とは心を通わせているものの、背が高く美男で聡明な彼にきっと劣等感をいっぱい持っていたと思います。
(ちび喜平次&与六ではわかりにくかったけれど)

おまけにもうひとりの養子景虎は風雅にも心得があり、謙信好みの世に隠れなき美男。
景勝はあとから養子になったのに謙信の名前をもらい、妻と子もいる景虎をどんな気持ちで見てたのでしょう。

そして謙信死す・・・
倒れた謙信のそばになぜ兼続がいたのか疑問だったのですが、兼続は景勝の家臣でありつつ謙信の秘蔵の弟子(小姓)でもあったのですね。

そして例の「偽の遺言」

「景勝には私心がないから選んだ」と仙桃院は言い

兼続も「お屋形さまのまことの心は景勝様にある」と信じている。

「自分は最後まで三郎殿と行動を共にするから、お前は景勝を支えてくれ」言われたらやるしかない・・・

本のほうが細かい心理描写があり、越後の置かれている状況なのも書かれているので説得力がありました。
(お船さまは登場しません)

桑取の衆との話し合いは原作もあっさりしてます。
でも景虎側がお金を送ってきたのではなく「こちらにつけば永代の年貢免除」という口約束。
兼続は

「だれがもっとも領主にふさわしいか、おまえたちの誇りにかけて判断してもらいたい」
「信じているから刀は石仏に預けてきた」


と話して大肝煎りの心を掴むのでした。

原作ではあまり景虎側のことは書かれてませんでした。
華姫との語らいもありません。
景虎の最期も「無念の思いを残しながら自刃して果てた」と1行・・・・
御館の乱についてはドラマ同様戦闘シーンが全然ないです。


この後、直江信綱の事故死で直江家に養子に入る兼続ですが、お船さまと顔を合わすのはずっとあとになっています。
お船さまは直江の城・与板城にいたからです。

もっとも「前からお慕いしていた」とはお互いに告白する場面があります!
まあこれは織田軍に包囲され上杉滅亡の危機を感じつつの語らいであったのでいやな感じはしませんでした。

越中の魚津城は落ち、上州から滝川一益、信濃路からは森長可が迫ってきていました。

もし本能寺の変がなければ、上杉は本当に危なかった。



上巻はこのあと豊臣秀吉が徳川家康と和睦するところまでで終わりです。(経過のみ)
徳川と北条の融和に、真田昌幸が怒り上杉に接触を図ろうとする・・・幸村を人質に出す・・ということになるようです。



さくさく読めました。
初音の役はもちろん架空ですからどこで何をしてもいいわけです。
(原作はもっと妖しげなふんいきの女性)
どこの陣営にも「諜報」をになう者がいたと思われ、そういう者を登場させて語らせるのも歴史小説ではいいスパイスかなと思います。

初音は下巻でもっと活躍するのではないでしょうか?
もちろんそれは織田信長と屋根の上で語らうということではありません。



前作大河ドラマ「篤姫」は原作とはまったく違うものでした。
それでも「こういう描き方もあったんだ」という新鮮な部分もありました。
(将軍でいることのつらさとか、篤姫への愛情とか)

今回は中途半端に原作をなぞっているのでおかしくなっているようです。
それはNHK側の事情(予算とか出演者サイドの要望)なのか、脚本が最初から悪いのかわかりません。
しかし、出演されている役者さんたちはただ全力で演技されているので可哀相に思えてなりません。

また原作者火坂氏は、大河の原作に決まった昨年多くのインタビューに応えているし、講演会などもこなしてPRに努めてらした。
初回もすごく満足したとインタビューで答えているのでその後の話をどう見ているのか気になります。


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