ひさしぶりの新選組関連の本です。

歳三からの伝言 (講談社文庫)歳三からの伝言 (講談社文庫)
(2004/08)
北原 亞以子

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沖田総司恋唄 (小学館文庫―時代・歴史傑作シリーズ)沖田総司恋唄 (小学館文庫―時代・歴史傑作シリーズ)
(1999/11)
広瀬 仁紀

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「沖田総司恋唄」広瀬仁紀は、そのタイトルとはイメージが違い淡々と書かれています。
これって沖田が主人公なんだろうか?と思うくらいです。

だいたい初めのページに登場するのがいきなり喧嘩シーンで、バラガキだったトシと勝太の出会いですから。(ガキの頃の話を井上源三郎から聞いて笑う総司という風に続くわけです)

解説ページでも書かれているように、女性作家の書く沖田モノは一種「恋文」のような作品が多いです。
この作品は新選組をとりまく政治状況とか思想背景とかはぬきで総司とまわりの人たちの姿のみで「沖田総司」を浮き上がらせています。

井上源三郎と土方歳三の会話

「・・・・一体、昔から総司に甘すぎる」
「おいおい、源さん。こんどは俺に小言かね」
「いいかね、歳さん。ヤンチャを躾けるには、我々がきびしくせねばだめなのだ」
「源さん、いくらなんでもヤンチャはかわいそうだ。野郎もあれで二十一だぜ」
「だから手遅れかもしれんと心配している・・」


困り抜いているような顔の源三郎に、土方が重々しく「これからは心底怒鳴りつけてやる」と言えばあわててて「急にきびしくしては総司が面食らってしまう」と狼狽してとりなす・・・

こういった温かい場面が多く描かれています。

タイトル「恋唄」は医者のところで出合った総司と同じ病を持つ少女おゆき、そして医者の娘おしのとの出会いです。

「沖田に好きな人ができたようだ」とわかって一番隊が盛り上がっているのが微笑ましい。
源三郎が「孫が抱けるかも」と大喜びしたり・・
土方はその噂を知らず、山崎から聞いてあわてていたり・・・

この本では山崎蒸も沖田と関わる重要な役として書かれてます。
総司が土方にも言えない話をこっそりするのが山崎です。
土方もまた山崎を信頼し総司のことを相談したりします。
この本では、山崎の最期を看取るのが沖田ということになっていました。


もう1冊の「歳三からの伝言」は伏見戦争から始まります。
京都を追われてからのほうが土方歳三の生き方がはっきりしてくるので、こういう始まりは前にもありました。
とはいえ、ここからは「敗走」の姿なので読むにはちょっとつらい部分もあるのですが・・・

松本良順先生が土方を語る人物としていい味を出しています。
あと、土方にはかかせない女性(苦笑)にお美乃という人が出てきます。
「燃えよ剣」のおゆきさんと反対の苦い水を飲んできた強い女性で函館まで追ってきます。
ひとつのことに命を賭ける男にひかれないはずはないですよね。

伊庭八郎との交流もよかったです。
瀕死の重傷を負った八郎を見舞う土方

「歳さんは弾がよけて通るのかなあ」
「なに、お前のところには、雌の砲弾が飛んでいったのさ」

いい男ほど早く逝ってしまいます・・・

両方の本のどちらも土方の最期で終わってます。

五稜郭を出て馬を進ませていた土方がひとり野原を走り出し一本木関門に駆け込む
新政府軍の兵が止める

(歳三からの伝言)
「参謀黒田了介殿に御意を得たい」
「貴公の名は」
「新選組副長、土方歳三」


(沖田総司恋唄)
「新選組副長土方歳三が、征討軍の本営に通る用といえば、斬り込むほかにあると思うか。覚えておけッ!」


どの本を読んでも銃声と硝煙の匂いと土煙が見えてくる副長土方の最期です。


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