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森満喜子さんは沖田総司研究の第一人者であり、同時に沖田総司に思い焦がれる女性のひとりでした(2000年10月死去)
新選組、沖田総司に興味を持った方が必ず読まれる「沖田総司・おもかげ抄」が有名です。
多くの読者(特に女性)から「これが思い描いていた沖田総司」と言われています。

短編小説として六人の目からみた沖田総司です。



沖田総司哀歌沖田総司哀歌
(1999/06)
森 満喜子

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ここにはさわやかなだけでも、苦悩に満ちているだけでもない沖田総司がいます。

八木家の下働きの娘「とし」はひそかに思いを寄せますが、もちろん叶うことではありません。
それでも1ばん近くでお仕えできることを喜び、総司の人に見せない姿(山南の切腹のあとの涙)も知ります。

池田屋で倒れた総司に土方が薬を噛み砕き水と一緒に口移しで飲ませる場面がありました。
森さんが書かれるといやらしくなく、としと同じように『早うお気がつけばえぇ』と願ってしまう自分がいました。
病床の総司に西瓜を持って行って寝顔に見とれたり、必死でおでこの手ぬぐいを冷たいのに換えたり、としのすることはけなげで可愛いです。
西本願寺に移転が決まり、八木家を去るとき、総司はとしに姉の作った手毬をあげます。
としは別れるのがつらくて近藤勇に 

「うちは、いつまでも壬生に居て欲しゅうおす」

とおもわず直訴したり・・・・

そんなとしに自分を重ねてしまう人も多いと思います。

としは八木家の世話で嫁入り先も決まります。
婚礼を控えて沈み込むとしに御寮さんが言います

 「女子はな、思ていることを胸に包んで一生過ごさなあかんのかもしれへんのや・・(中略)・・・
 お前のその思いは心の中に納めておく宝物のようなもんや。
 この世の旦那さんは清吉さん、沖田さんはあの空に浮かんでいる雲のようなお方」

時を越えて、沖田総司のお墓に参る多くの女性たちの心の中にも宝物があるのでしょうね。

この本の最後の章は沖田総司の亡くなった直後の植木屋平五郎家を描いています。
官軍に見つからぬように夜中に弔いをすることなり、あわただしく動く家族。
行李の底にあった白無垢に着換えさせ数珠を手に掛け・・・
棺に入れるものを探すと、手箱にたくさんの芥子人形が出てきたときには胸がつまりました。
卒塔婆が立てられるところまで書かれたこの章は、「亡くなった」という1行で済まされることの多い小説の余白を埋めるものとしてほっとした気持ちになります。

森さんは総司をやすらかに眠らせてあげたかったんですね。

好きだ好きだと叫んでいるわけでもないのに、森さんの熱い思いが感じられる本でした。


※芥子人形
小指の半分ぐらいの大きさで小さな顔に目や口、鼻が書かれているもの

芥子人形
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コメント - 2

なつ  2008, 06. 20 (Fri) 08:52

てのひらさんへ

この本は一度は絶版になってまた出されたものです。
私は図書館で借りたのですぐ読めましたが、書店ではスペースが限られていて難しいのかもしれません。(通販などでは可能かも)

最後の章に涙する人が多いようです。
誰も書いていない部分なので余計いとしく感じます

編集 | 返信 |  

てのひら  2008, 06. 19 (Thu) 19:20

こちらでははじめまして

昨日はコメントくださって有り難うございます。
この本、近くの本屋さんには売っていないので、
買うのを迷っているのですが、
面白そうですね!

編集 | 返信 |  

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