このシリーズは江戸で浪人暮らしの坂崎磐音がかかわる人を虜にしていくのが気持ちいいです。
なにげない長屋の住人との会話、湯屋での噂話、そういうものが挟まることで磐音の人柄も浮かび上がってくるし、斬り合ってばかりでおわらないところが魅力です。
それと、このシリーズ磐音が純愛に生きているせいなのか、男女のからみの描写がほとんどありません。
吉原もたびたび出てきますが、白鶴太夫すら今も真っ白のままのような錯覚におちいります。読者もまだ白鶴太夫自身が発する言葉すら聞いていなくて、天女かなにかのようです。
そういうことで磐音と奈緒さまの距離を感じさせてくれているのかもしれません。

前作「無月ノ橋」でも品川柳次郎親子と萩の寺に参拝する話から始まりました。幸吉や松吉に

  「貧乏御家人の子倅が訪ねてきたぜ!」
  「馬鹿郎。いくら北割下水の貧乏たれといって、
   本気で貧乏御家人と呼ぶ奴はあるか!」

と「貧乏御家人」と連呼されても泰然としている柳次郎。好きです。
この墓参りで柳次郎が本当は三男で長男は亡くなっていることがわかります。
ところで、品川家は両親と兄のはずですが、父と兄の姿を見たことがありません。
父はたまに出てきますが兄はどこでなにをしているのでしょうか?
雇われてどこかへでているのでしょうか・・・


今回は内儀お艶を亡くした今津屋の後添い候補に会いに、由蔵と磐音は鎌倉に行きます。見合い相手の妹お佐記にも

  「白鶴の生きる江戸で白鶴の幸せを祈って生きると、
   それがし心を固めました。」

と言ってます・・・・やれやれ・・


おこんさんと初詣にでかけた磐音は、人ごみで別れ別れにならないようにおこんさんの手を引いたりしてますが

   「私ははっきりしているわ、ただ相手にその気がないだけ」

と言われて何もこたえられず

   こればかりはどうしていいかわからぬ問いだった

とはおこんさんも苦労します。


以前、磐音が淳庵、国瑞、桜子姫を宮戸川に連れていきました
今度は桂川家の別宅に集まります。
この家の庭には早咲きの白梅紅梅が咲いています。「探梅」とは早咲きの梅を鑑賞して歩くことらしいです。

桜子姫は磐音の脱藩の訳も奈緒のことも知っていました。
パートナーとしてのリサーチも完璧です。
国瑞は桂川家でも俊英と歴史に名を残す蘭医なのに
「十八大通のひとり・遊び人」
との認識しか持ってもらえずがっかりしてます(笑)

おこんさんに金兵衛が見合いを進めていると聞いた老分由蔵は
磐音に

  「おこんさんを嫁にやってよいのですか」

詰め寄りよります。

  「気持ちに正直に生きることもまた人の道でございますよ」

とも言います。いいことをいいますね。


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佐伯 泰英 (2005/03)
双葉社

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