「幕末に生きた名君&バカ殿100人・志士たち100人を完全分析」という副題でした。
知名度・個人能力・影響力など12の項目で評価しています。

幕末藩主の通知表―八幡和郎が幕末の藩主・志士たち200人を徹底検証! (別冊宝島 1460)


でも「宝島」という性格上からか結構中味は荒っぽいです。
明治維新までの評価なのでやっぱり旧幕府側に厳しいです。
まずは『幕末常識12の嘘』でいきなり喧嘩を売っている記述が・・・

嘘⑥
会津藩は徳川将軍家に最後まで殉じた忠義の藩だった

ホント
松平容保は徳川将軍に忠実ではなく、自分の都合で動いていただけ



うぅっ・・・ちょっと言いすぎではないですか。
本書での説明は、

容保は幕府の家来なのに孝明天皇に篭絡され将軍家とぎくしゃくした。
京都での活動に家来が反対したのに無視した
天皇に忠実というなら明治天皇にも従うべきだった
慶喜と組んでいたのに鳥羽伏見の戦いを起こし停戦命令を無視して東北で戦った。



京都守護職を無理にやらせたのは徳川ですし、将軍家に忠誠を誓っていたから
家臣に説得も退けて役を引き受けたのです。
家茂の周辺とぎくしゃくしたとも思えません。
明治天皇から筋を通し「これからは自分のために尽くしてくれ」と言われたら
容保も命をかけて尽くしたと思います。
でも薩摩の謀略ともいえる排除でした。
慶喜公と組んだのではなく『将軍』だから命令を聞いてあげく見捨てられたと思うのです。

確かに京都という一番政事が動いていた場所にいながら
時世を読みきれなかったことに後悔は残ります。
藩の体制が堅実すぎて家柄の格を越えて若い才能が活躍できる素地がなかったことも
会津藩の弱点でした。

松平容保の評価を「稚拙な行動で慶喜の深謀遠慮を台無しにした」と書く編集部は会津に恨みがあるのでしょうか?
(この本、監修八幡和郎となってますが著者ではありません。)

この本で藩主で一番評価されているのは「島津重豪(しげひで)」95点
斉彬・久光の祖父に当たる人です。
徳川慶喜は89点、松平容保は45点です。
この通知表には石高が含まれるという変則なので大名でも最初から格差があります。
「遊び心を重視して評価」という一文があるのですがどうも歴史認識が浅い気が・・・(苦笑)

もう少し中味を読んで続きを書こうと思います。
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コメント 3

初津介太。  2008, 06. 05 (Thu) 23:33

なつ様へ―

私のコメントに対する丁寧な返答、真にありがとうございます。
そうですよね。歴史を学問として捉えるなら、いずれが善玉でいずれが悪玉だったかといった単純な二元論ではなく、広い視野で検証していく必要があると思います。歴史を二元論で捉えるのは分かりやすいかも知れませんが、"悪玉"とされた方に対するマイナスイメージが固定観念として定着してしまう事が怖いのです。
例のTBSクイズ番組での件でその後、市長の話を聞く事がありました。いずれの街も、郷土の歴史と先人たちに対する誇りがある、その誇りを視聴率稼ぎの笑い話にされるのはとんでもないと。まさにその通り。薩摩も長州もそうですが、会津にも誇りうるべき歴史と先人たちがいるのです。その先人たちを"悪玉"や「敵役」(←この言葉は八幡氏の著書で実際に使われています)と二元論で徹底否定された会津の人々は、どれだけ傷付き苦しむでしょうか?八幡氏のそんな無神経さと、単純な歴史理解に憤りを覚えるのです。
何か言いたい放題になってしまいました。ごめんなさい。ちなみに。私の幕末会津に対する考え方は、畑敬之助先生の著作「戊辰怨念の深層」(歴史春秋社)に近いです。また一度見て下さいませ。

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なつ  2008, 06. 04 (Wed) 21:17

初津介太さんへ

はじめまして。
以前の記事にコメントしていただきありがとうございます。
会津については他の本を読んでいなければ、いまも最後まで抵抗したバカな藩と思っていたでしょう。
一方的な記事は多くの人に誤解を与えます。
クイズ番組の問題でも抗議→謝罪が行われたのは最近ですね。

歴史畑でない人は、広い視点で歴史を見られる気がするんですが、そうでないところが悲しいです。
読む側も1冊で判断しないで考えていきたいです。

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初津介太。  2008, 06. 04 (Wed) 14:52

"八幡史論"の独善性

はじめまして。京都在住の会津好きです。
そうですよね。全く酷い内容ですよね。この八幡氏という人物、私怨でも持っているのか相当の会津藩嫌いなようで、他の著書でも容保を激しく攻撃し、藩祖保科正之に対しても批判的です。それも見苦しいほどに、屁理屈じみた言いがかりを呈していて…。
この本も、氏がどんな事を言ってるのか気になって本屋さんで見たのですが、思わず床に投げ捨てたくなりました。氏の歴史に対する偏向的なー傲慢とまでも言えるようなー態度が如実に現れていると思います。恐らく、会津の方々がこれを読んで、うん、そうか。ごもっともだと首肯する人は皆無でしょう。それどころか、全ての会津人と、会津に関わる人々を敵に回すだけだと思います。
著者、八幡氏は東大法学部卒、元通産省官僚というエリート。それだけに損得主義だけでしか物事の価値を判断出来ないのかも知れません。氏に対する不信はまだまだ少なくないのですが、いずれ公に抗議して行きたいと思ってます。
とにかくこの本は私から見れば、八幡氏自身が、独善的な歴史認識を読者に押し付けているだけにしか思えません。読者が真に受け、会津に対してマイナスイメージを抱かないよう願うのみです。

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