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「総司 炎のごとく」や「歳三 往きてまた」など新選組小説で有名な秋山香乃さんです。

晋作蒼き烈日


とても読みやすく、自由奔放な晋作の生き方がよくわかります。
実在の人物を描くとき、ともすれば事実の列挙になりがちです。
もちろん資料研究としての本はそれでよいのですが、『小説』なら動いているところを描いて欲しいですね。
史実と史実の間を作者の想像で埋めてほしいのです。
どんな風な会話をしたのか、何を考えていたのか・・本当のところはそこで生きていた人しかわかりません。
だからこそ蘇らせてほしい。

秋山さんの書く世界には生きている彼らがいます。

晋作といえばその世界観の始まりは久坂との交友から始まります。

高杉晋作と久坂玄瑞は互いを友として慈しみ、実力を認めあっていました。
久坂はまっすぐすぎる熱情で生き急いでしまいましたが
その志は晋作に受け継がれたのでした。

少し長いですが好きな場面はここです。


長井雅楽暗殺計画して失敗した久坂は京の寺で謹慎中。
上海渡航を終えた晋作が上京して会いに来る。


「君に伝えたい話が三つある。いい話と、悪い話と珍事じゃ。どれから聞きたい」
「悪い話良い話珍事の順に聞こうかのう」

悪い話は友人松浦が自刃してしまったこと
良い話は、栄太(吉田稔麿)の帰藩がかなったこと
そして珍しいことというのは・・・

「これはどうという話でもないけど、高杉が好きそうじゃと思うてのう。」
「僕の好きな話じゃと」
「あの桂さんじゃがなんでも恋に落ちたらしい。好きじゃろう。」
「大好きじゃ。それで」
「俊輔いわく、日々溜息の嵐じゃと」
「重症じゃのう。相手は?」
「京の芸者じゃそうじゃ」
「やるのう」
「それがやられっぱなしじゃけ面白いんじゃ。真正面から好きじゃから一緒になってほしいちゅうて、なかなか手厳しく振られたらしい」
「そりゃあ田舎もんのやることじゃな」

晋作は片方で政事を動かす才のある桂が、女に振られてたことを聞いて親近感を持つ。
頭をかかえつつも、桂の恋を応援すると宣言。
久坂は純粋な目をした高杉に微笑をもらしつつ・・

「高杉はいい奴じゃ」
「・・・どうした急に」
「いや」
「さてはぬしゃあ僕に惚れたな」
「調子に乗るな」



西郷隆盛が明治になって「久坂玄瑞が生きておれば私たちはこうして重職にはついていない」ともらした彼の才気。惜しいです。
長州は禁門の変前後で多くのすばらしい才能を失いました。
晋作も維新を見ずに亡くなったけれど、ずっと彼は孤独だった気がします。


この本の高杉は、本妻マサが可愛くてしかたありません。
友人が訪ねてきてお茶だしても不機嫌になったりします(笑)
しかし、大きな志を貫くためには『妻』に執心してはいけないと必死にいいきかせたりしてます。

風邪で熱っぽいマサが床几にもたれている姿をみて

 妻でなかったら押し倒しているのに

などと思っている(素直じゃない)


愛人のうのさんにも一目惚れして上海で彼女に似ている仏像を買い求めています。
これをマサに預けたりしているんだから困り者です。

竹田真砂子の「三千世界の烏を殺し」の晋作もマサを大切に思う人でしたが、男性作家の作品には本妻はほとんど出てきません。
うのさんというのは男性からみた理想なのかもしれません。

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